こんにちは。”私たちにちょうどいい家(R)プロジェクトDaihyoTV”の木内淑規(きのうちとしのり)です。
共働き夫婦が住宅ローンを検討する際、そこには様々な選択肢が存在します。ペアローンを利用し、それぞれが住宅ローンを組む、収入合算し1人が契約を結ぶなど、夫婦によって最適な選択肢は異なるものです。今回では、仕事や将来設計から、それぞれの共働き夫婦にぴったりな住宅ローンの借り方を紹介します。
◆夫婦で借りる住宅ローン プチ用語集
ペアローン:夫婦が個別に契約を2つ結ぶ住宅ローン。それぞれの収入に応じた金額を借り入れることができます。
収入合算:夫婦の収入を合算して申請し、借り入れ金額を増やすことです。ペアローンと異なり契約はどちらか1人が行います。
◆共働き夫婦が賢く住宅ローンを借りる方法①
ケース別で住宅ローン借り入れ術ケース①
仕事・収入が不安定か仕事に復帰しにくい職場に勤めている場合、契約社員や派遣社員、自営業など、どちらかの仕事や年収が不安定な共働き夫婦の場合、後々収入が減ってしまうこともあります。また、子育てや介護の後、仕事に復帰しにくい職場に勤めている場合、子育て・介護をきっかけに収入が半減してしまう可能性があります。そのような状態で、夫婦の現在の収入を基準に住宅ローンを借り入れるのは大きなリスクです。
住宅ローンはリスクが高い借り方を避けるのが原則です。このケースで住宅ローンを借りるおすすめの方法は2つ。
まず1つ目は、仕事・年収が不安定な方の収入を少なく見積もった上で、ペアローン・収入合算を利用する方法です。万が一共働きの体制が崩れた場合でも支払えるような金額を借り入れましょう。
そしてもう1つの方法は、仕事・年収が安定している方が単独で住宅ローンを借り入れる方法です。借り過ぎを防ぎつつ、もう一方の収入を繰り上げ返済にまわせるという利点もあります。
まとめ:仕事が不安定な場合、稼ぎ頭が単独で借りるか、借り入れ金額をセーブしましょう。
ケース②仕事・収入が安定しており、子育て・介護後の復帰もできる。
このケースでもやはり子育て・介護期の収入減には注意しなければいけませんが、ペアローンや収入合算を利用し、夫婦2人の収入を見込んだ金額を借り入れても良いでしょう。ただ、復帰が上手くいかない場合もあるので、限界まで借りるのはやはり危険です。ペアローンと収入合算にはそれぞれメリット・デメリットがあります。次の事項でその特徴を説明しましょう。
まとめ:仕事が安定していれば、ペアローン・収入合算もOK。ただし限界まで借り入れるのはリスクがあります。
◆共働き夫婦が賢く住宅ローンを借りる方法②
ペアローン、収入合算のメリット・デメリットとは?
ペアローン、収入合算ローンは、「夫婦2人の収入を元に住宅ローン」を借りるという点では同じですが、そのメリットとデメリットはそれぞれ異なります。
■ペアローン
夫婦がそれぞれ個別に契約をむすぶ住宅ローンのことです。
〇:メリット
- 住宅ローン控除がそれぞれに適用される
- 民間の住宅ローンなので、団信保険料は無料である事が多い。
×:デメリット
- 団信へ個別に加入するため、片方が死亡しても、もう1人の住宅ローンは残る。
- 2契約分の借り入れ手数料・作業が必要
- 離婚したときの名義・残高処理が複雑
■収入合算(連帯債務型)
1人が主債務者となり、もう一人が連帯債務者となることで、夫婦の収入を合算する住宅ローンの形式です。※連帯債務者は主債務者と同等の返済義務を持つ
〇:メリット
- 住宅ローン控除がそれぞれに適用されます。
×:デメリット
- 団信に加入するのは主債務者のみのため、
- 連帯債務者が死亡しても住宅ローン残高に変化がありません。
■収入合算(連帯保証型)
1人が主債務者となり、もう1人が連帯保証人となるとなることで、夫婦の収入を合算する住宅ローンの形式です。※連帯保証人は連帯債務者より返済義務は少ないが、主債務者の支払いが滞納した際に銀行から支払いを請求される点では同じです。
〇:メリット
- 特になし
×:デメリット
- 住宅ローン控除は1人だけです。
- 団信に加入するのは主債務者のみのため、連帯保証人が死亡しても住宅ローン残高に変化はない
総合的に検討すると、共働き夫婦の住宅ローンはペアローンがおすすめです。
住宅ローン控除が2人分適用されれば10年間で100万円以上の節約になります。団信へ個別に加入しなければいけないというデメリットもありますが、それぞれが収入に見合った金額を借り入れ、万が一の場合の金銭負担を踏まえた生命保険内容にすることで、リスクは最大限に抑えられるでしょう。また、連帯債務型住宅ローンも住宅ローン控除が2人分適用される点は同様ですが、団信が主債務者のみという点には要注意です。
例えば、年収500万円の夫が主債務者となり、年収300万円の妻が連帯債務者となった場合、妻が死亡し家計の収入が大幅に減ったとしても、住宅ローン残高に変更はありません。連帯債務型住宅ローンを主に取り扱っているフラット35では、夫婦の一方が死亡した場合にローン残高が0円になる団信デュエットを取り扱っていますが、こちらもその分保険料は上乗せされます。
今回のまとめ
ベストな方法は、ペアローンにして減税措置を最大限に受けながらも借入額は万が一働き手が一人になっても返済可能な金額にとどめて、リスクを最小限にしておくことではないかと思います。無理のない借入額と返済方法で、楽しいローン生活が送れるといいですね。
おまけ:考えておきたい離婚時のリスク
ペアローン・収入合算の住宅ローンは単独名義で住宅ローンを利用する場合と比較すると、離婚時にトラブルがおきやすいといわれています。
住宅ローンが完済されるまでに離婚した場合、住宅の価値を住宅ローン残高が上回るケースも多く、どちらが残りの住宅ローンを支払うのか(もしくは共同で支払うのか)がまず1つの問題となります。さらに、どちらかが連帯保証人・連帯債務者になる収入合算の住宅ローンはもちろん、ペアローンもお互いが連帯保証人となるため、住宅ローンの支払いを滞納すれば、元妻・夫に返済義務が発生します。例えば元妻と子供が家に住み続け、主債務者の元夫が養育費軽減の変わりに住宅ローンを支払うことで同意したケースでも、元夫の支払いが滞納すれば、連帯保証人・連帯債務者である元妻は銀行から返済を要求される可能性があるのです。また、ペアローン・収入合算を利用した場合、住宅・住宅ローンは夫婦の共有名義ですので、権利面での問題も発生します。
住宅ローンを契約する段階でこれらの離婚リスクについて検討するのは難しいかもしれませんが、万が一の場合に備えて一度夫婦で話し合ってみてはいかがでしょうか。
「愛し合っているから大丈夫・・・!!」それは失礼しました(笑)。※ただし、それは今の話です。
それでは、また。