こんにちは。”私たちにちょうどいい家(R)プロジェクト”木内 淑規(きのうち としのり)です。
今回のテーマは「塗り壁」です。
家づくりで内装を考えるとき、塗り壁にあこがれているけど、実はよく知らないという方が結構います。では、塗り壁とは、いったいどんなものなのでしょうか?
◆漆喰と珪藻土の違い
塗り壁の種類は、代表的なもので、漆喰と珪藻土があります。漆喰と珪藻土の違いについてはさまざまありますが、一番大きな点は【自分で固まる力があるかどうか】でしょう。
漆喰が自ら固まる仕組みは以下の通りです。
生石灰【CaO】は酸化カルシウムで、消石灰【Ca(OH)2】は水酸化カルシウムです。漆喰に水を加えて練りこみ、乾いていく過程の中でH2Oが離れてCaOにもどらずにCO2と反応します。そうすると結果として余ったH2Oが離れていきます。そして、空気中のCo2を吸収するとCaCO3、つまりもとの石灰岩に戻っていきます。
漆喰は壁に塗った後にゆっくりと自分で固まっていく性質がありますが、珪藻土にはそのような性質がありません。これが何に影響してくるかというと、原料比率に関係してきます。漆喰も珪藻土も糊を混ぜて壁に塗り込むのですが、市販のもので比較すると、やはり自分で固まることができない珪藻土の方が原料比率が低い傾向にあります。製品やメーカーによって配合率は違いますが、珪藻土は熱以外に自分で固まる性質がないため、珪藻土壁材と袋に書いてあっても原料比率が50パーセントしかないものも多くあります。(なんと10%未満のものも!)骨材である砂などを混ぜて、特殊な固化材によって水で練り固められるようになるので、この原料比率でも仕方ないのでしょう。珪藻土は漆喰よりも調湿性に優れているとも言われていますが、原料比率が50パーセントではせっかくの調湿性もその力を発揮できないことになってしまいますね。
左官屋の職人が壁に塗る場合、漆喰の方が配合率の違いが職人の個性で変わります。これは漆喰に自ら固まる性質があるためです。珪藻土の方が、比較的ですがどの左官職人が塗っても同じような配合率になる傾向にあります。珪藻土には自ら固まる性質がないため、原料以外のものが多く混ぜられているためでしょう。つまり、珪藻土は作っているメーカーによって大きく違いがあるということです。それでも、珪藻土は調湿性において優れている素材なので、かなり人気になっています。
2つ目の漆喰と珪藻土の違いは、できあがりの表面です。
漆喰がつるつるした感触であるのに対して、珪藻土はザラザラとした感触になります。これは好みの問題なのでどちらが優れているということではありません。もし小さいお子さんがいらっしゃる場合、壁に肌をこすり付けてしまうこともあるでしょう。このことを考えると、漆喰の方が室内壁には向いているかもしれません。
3つ目の漆喰と珪藻土の違いは、壁材としての歴史です。漆喰の壁材としての歴史は5000年と言われています。珪藻土は1993年くらいからなのでここ20年ほどです。
ほかにも漆喰と珪藻土には違いがありますが、大まかにいうとこの3つになります。
ビニールクロスが家のお部屋の95%を占める日本で、塗り壁を考えると施工費用、価格だけではなくデザインも重要です。いかにお客様のイメージするニーズに近づけられるか、いかに各ご家庭に合ったデザインを提供できるかです。
漆喰や珪藻土などの自然素材であれば、イタリア、スペイン、ギリシャ、スイスなどのヨーロッパのお家の雰囲気を出すことが可能です。パターンや色を変えればアジアンテイストにもできます。家具にこだわりのある人にも漆喰壁など自然素材の内装材はおすすめです。自然素材の壁に変えることで家具を引き立たせることも出来ます。日本にいながら、外国のようなお部屋の雰囲気を味わうことができるでしょう。
◆漆喰・珪藻土・ビニールクロスのいい点と悪い点
種類 | ○:メリット | ×:デメリット | その他の特徴 |
漆喰(しっくい) |
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珪藻土(けいそうど) |
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ビニールクロス |
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いかがでしたか?今回は塗り壁の代表的な、漆喰と珪藻土についてお伝えしました。
最後に簡単にまとめると漆喰はコストが抑えることができ、珪藻土はコストはかかるが調湿効果が漆喰より期待できる、という特徴になります。施工する部位をよく吟味して予算と相談しながら選びましょう。
それでは、また。